嫌なことの多い住宅営業という仕事ですが。
その中でたまに出会える「本当に良いお客さん」は格別の存在です。
話していて楽しいとか。
信頼されているのが分かるとか。
自分たちとの家作りを心から楽しんでくれているとか。
長いお付き合いなのでトラブル0で終われる方はそう多くないのが現実ですが、それでもケンカや言い合いにならず、最終的に建てて良かったと思わせてくれるお客さんに出会えるのはとても幸福なことだなと。
良い営業マンを理由に契約する人は多い
お客さんはプライベート、営業マンは仕事です。
どうしてもその価値観の違いを埋めることは難しい。
けれど、その垣根を感じさせないくらい良いやり取りができる方も中にはいます。逆にその垣根の中でとても楽しくやり取りできる方もいますね。どちらも良いお客さんです。
こういうお客さんって本当に素敵な空気感でいてくれるんですよ。
すごくこっちのことを考えてくれているのが伝わってくると言うかね。同じやり取りをしていても常に緊張しっ放しで上手く打ち解けられない人もいます。どれだけ話しても心を開いてくれないんですよね。そういう人に限ってクレームが入るんです。結局こっちも心を開けていないんでしょうね。あぁまた愚痴になってしまう。
正直言って、良い営業マンが良い家を建てられるわけではありません。
どんな嫌味な営業マンでもちゃんと設計士や現場とのやり取りさえできていれば同じ家が建つ。これが現実。極論、誰でもいい仕事なんですよ。
それでも住宅メーカーを決めた理由には「営業マンが良かったから」がトップになるのです。これは業界全体でだいたいそうらしいんです。
それくらい住宅建築と言うのは、気持ちの良いやり取りをして行きたい物なんですよね。大金が絡むので信頼できる人に任せたいと思うのは普通です。それを営業マンも頭に置いておかなければなりません。
営業マンとしては契約してもらえれば何でも嬉しいんですけどね。
加えて「決め手があなたです」なんて言われた日には舞い上がって喜びたくもなりますよ。
良い人との出会いだけが心の支え
しかし仲良しだから契約とは簡単に行かないのが世の常。
すごーく仲良くしてたのに、他で良い土地が見つかったからとか、予算が合わなかったからとかで離れて行かれてしまった経験も何度もあります。それっきりの関係で、二度と会うことはありません。
仲違いしたわけでもないのに一生のお別れ。あんなに仲良くしてくれたのに。悲しいです。これは住宅営業マン至上の悲しみかもしれません。
ただし「良いやり取りができた」というのは割とその場しのぎの自己満足ですから、選択肢の中に良い営業マンとすごく良い営業マンがいたら、営業マンでメーカーを選ばずに家の性能やデザインで家を決めてほしいというのが本音です。本当にその人のことを考えたらその方が良いに決まっています。
良い人、好きになった人のことを考えればベストではないかもしれないと思いつつ、自分のメーカーで決めてもらうために努力するなんてことも。何だか変な話ですよね。
そういうことがあるから、たまに巡り合える双方ベストだと思える「本当に良いお客さん」との出会いは格別の嬉しさです。それだけが心の支えかもしれません。
良い人に良い家を建てられる。
一生の思い出を作ってあげられる。
そういう仕事だと思えば、たまに悪くないかなと思う時もあります。