マンションにするか…
建売にするか…
新築にするか…
家を買うと言っても様々な選択肢がありますが、今回はその中で建売についてです。
私は新築注文住宅の住宅営業マンですので、建売は言わば商売敵。あの業界人すら卒倒する安さには頭を悩まされてしまいます。
安いだけでなく立地が良いことが多いのが建売の特徴。というか立地がが良いのに安いから売れるとでも言いましょうか。
この記事では商売敵たる建売住宅の安さの理由と注意点をまとめます。参考にお使い下さい。
スポンサーリンク土地を一括で仕入れ、相場よりも安い値段で提供している
建売住宅の安さはまず土地の一括購入によって成り立っています。
1棟分の敷地には広すぎるどころか、5棟一気に建ちそうな土地などは個人の買い手がつきません。敷地を分筆して(切り取って)の売却も手続きがかなり面倒なため、それを何度も繰り返すのは大きな負担ですし経費もかかります。よって地主さんは一括の売却を望むことが多いです。
こういう土地を業者側が「一括購入」という名目で安く買い叩くことで、1棟分の敷地の購入ではありえない坪単価で土地を用意し、そこに安い家を建てることで格安の一戸建てを用意するというのが建売のオーソドックスな手法です。
結果的に家の買い手たるお客側も、土地の相場から見れば安い価格で土地を購入できるのが建売最大の魅力と言えます。
しかしながら土地以外の点においては、かなり危ない橋を渡る選択になるかもしれません。
住宅の質を落とし「立地が良ければ何でも良い」顧客の獲得を狙っている
建売は安いというイメージが強い文化なため、住宅の価格もとにかく押さえたものが建っていることが多いです。
同じような外観とプランで建築することで経費を抑え、比較的安い住宅を建てることができるというプラス要因もありますが、住宅全体の価格で見れば微々たる削減です。
結局は住宅の性能や質を落として「安く建てられる家」を作るのが最も確実に利益を出すことができます。新築直後はどんな家でも綺麗で遜色なく見えるため、素人には中身の違いなど分かりません。
新築注文住宅と違い、建売は建築途中の現場を買い手が見に行くことができませんから、残念ながら内側に何を使っているかを確認する方法がありません。売り手が説明してくれること以外は一切分からないというわけです。
そして建売は「そういった住宅でも売れること」を前提に建築地を選んでいます。そこの土地に一戸建てを安く買えるのであればどんな家でも構わない、立地が何よりも重要という価値観の顧客獲得を狙っています。
つまり、建売業者の多くは家は雑なものでも構わない、こだわる必要がないと思っています。その辺の粗雑なローコストメーカーよりも更に質の悪い、デカい倉庫といっても過言ではない本当に最低クラスの住宅が建っていることも少なくありません。
粗雑な工事が行われやすい環境
建売はこういった建築物の内容に加えて、工事進行中にも問題が出やすい住宅です。
完成してから売るという都合上、建築業者の気も緩んでいて、雑な仕事をしているという話も上がっているのです。
新築注文住宅だとお施主さんが見学に来る可能性が常にあるので、相応の気持ちで仕事をすると聞いたことがあります。細かいことを指摘するお施主さんだと、ちょっしたことがとんでもないトラブルに発展することもあるので、皆気を付けて仕事をしています。
建売はその点、業者同士のやり取りになるので、ある程度雑な部分を見過ごされます。外側さえしっかりしていれば十分美しい家に見せかけることは可能。見えないところは見えない程度の仕事に収めて、経費を削減することもザラにあると言います。
気持ちでクオリティの差が出るようなことは本来あってはなりませんが、人が行う作業である以上、そういうことがゼロになることはありません。手抜き工事があるとしたら、真っ先に手を抜かれる対象が建売住宅というわけです。
スポンサーリンクまとめ
このように建売には「経過が見えないからこその恐ろしさ」が多分に存在しています。ただ安いから、立地が良いからという理由だけで決めるべきではないのは確かでしょう。
しかしながら、良い立地をの家を安く買えるということが既に、新築注文住宅には全くない素晴らしい長所だと言えます。
どうしても立地にこだわらないといけない理由がある、予算も限られていると言った方には有力な選択肢であることは間違いありません。
建売を選ばれる際にはそういった長所だけでなく、この記事のような短所もしっかり吟味した上で、納得した上で購入してください。