1000万円以下からの建築なども可能なローコストメーカー。
安さは魅力的ですし、正直アリっちゃアリです。
最低限の出費で一戸建てという最良の空間を手に入れられることを考えれば、質にこだわらなくてもいいというのは1つの正解だと思います。
ただローコストメーカーの安さに真っ当な理由なんかはなく、単純に「住宅の質が悪いから安い」ということは知っておくべきです。
「人件費を削ってる」というのはヤバい
ローコストメーカーが安さを語る時は
うちは工期を短縮して人件費を削減しているんです!
うちはパック売りで同じ仕様なら材料費を安く抑えられるんです!
こんな理由がよく出てきます。
如何にも最もらしい理由をつけています。
確かにこれらは家を安く建てる方法ではありますが、正直微々たるものです。そんな何百万も何千万のお金を節約するような力は流石にありません。
だいたい工期を短縮して経費を抑えるというのはヤバいです。
完全工場生産のハイレベルメーカーなら理屈は通るのですが、木造のメーカーで工期を短縮するというのは、単純に工事のペースを無理なレベルまで引き上げるということと変わりません。
少しでも1棟辺りの利益を引き上げるために下請けや大工を執拗に圧迫している可能性もありますし、それで良い仕事ができると思えません。そのような事情から欠陥住宅を建築してしまったメーカーも過去には幾つか出ています。
工期短縮という理由は危険以上の何物でもありません。
そのようなことを平気で言うようなメーカーはちょっと注意した方が良いですね。
住宅業界はただでさえ人手不足で今あえでいる状態なので、潤沢な人材を囲い込んで仕事を円滑に行っているメーカーは本当に少ないはずです。どこもカツカツで運営しているのが実情です。
営業は「大丈夫ですよ」と言いますが、営業の大丈夫は「(完成するから)大丈夫ですよ」であって、自社の内情を把握して言っているわけではないのであまり信用しないでください。こんなこと言っている私も例に漏れていません。悲痛です。
「当たり前なもの」を誇大広告している
ローコストメーカーのカタログなどを見ると
二重サッシ!
高気密高断熱の発砲ウレタン断熱材!
とかをデカデカと偉そうに謳っていたりしますが、あれにも注意が必要です。
料亭の店主が「うちの味噌汁は手作りなんです」と言っているようなものです。
謳っているのは少しでもハイレベルのメーカーになると「あって当たり前のもの」ばかり。
当たり前だから他社が敢えて宣伝しないのを良いことに、アピールに使っているんです。
「○○ハウスはこうらしいんですよ」と言われて「そんなの普通ですよ」と答えることもしばしば。言い方考えないとこっちが嫌味っぽくなってしまうので困りものです。
ローコストメーカーは住宅の良いところ、独自で作っている「売り」のようなものが全くないので、どこでもできる「昔よりは良くなっているもの」をデカデカと広告しています。
「家は性能」みたいな垂れ幕を垂らして全然スゴくない家を売ってるメーカーもあります。恐ろしいですね。(「家は、性能」がキャッチフレーズのメーカーはちゃんと良い物を売っているのでそこの悪口ではありません)
ローコストメーカーはあくまで「安さが売り」なんです。
家の「売り」はありません。
でもそんなこと言うわけにはいかないのが現実。
少しでも良く見せるために真っ当ではない詐欺のような広告を打っているところも出てしまうわけです。
まとめ
ローコストメーカーの悪口でした。
格安のメーカーで「安いけど全然イイじゃん」ということはありません。
最初が綺麗なのは当たり前です。10年経ったらもう分かりません。
もちろん格安の建売も同じですよ。いや建売はそれ以下ですね。
家の性能に期待しないでください。
結構ヤバいことして安く売り叩いてるところもあるんです。
実際に上場を果たした某ローコストメーカーは、前よりまともになったと聞きます。その分値段も上がり傾向だとか。それがどういうことかは、よく考えなければなりません。
日用品でも100均のものはすぐ駄目になりますよね?
住宅だって同じです。一生に一度の大きい買い物だからこそむしろ真剣にそこと向き合う必要があります。
しかし冒頭にも書いた通り、格安で夢の一戸建てが手に入るという点ではやはりローコストメーカーには一定の理があります。
日本の住宅は世界的に見ても高すぎる上に、建築後にどんどん価値が下がってしまう仕組みになっているので、高い家を買うことが必ずしも幸せに繋がるとは言えません。
家の性能は大したことなくてもいい。
あとから修繕費がかかってもいい。
そういう認識を持った上で初期コストの低い家を選ぶというのはアリだと思います。
自分の人生に合った選択をしてみてください。